Lasius hikosanus

ミヤマアメイロケアリ?

ミヤマアメイロケアリ Lasius hikosanus Yamauchi, 1979 か?

九州大学 野崎さんに長野県で採集されたサンプルをご提供いただきました.
前伸腹節の斜面の形状はどうでしょう, 何とも言えないところがあります.
触角柄節上の立毛はumbratusと同様ですが, umbratusと比べて触角柄節の長さ, 胸部背板の様子, 腹柄節の高さあたりが違うような気がしますが, 撮影角度によるものかもしれません.
本種と思われますが, 違った場合は訂正します.

ワーカー

Lasius hikosanus
Lasius hikosanus
Lasius hikosanus
Lasius hikosanus
Lasius hikosanus

女王

ギャラリー

分布と生息環境

文献

Yamauchi K (1979) Taxonomical and ecological studies on the ant genus Lasius in Japan (HymenopteraFormicidae). I. Taxonomy. Sci Rep Fac Educ Gifu Univ (Nat Sci) 6: 147-181

Lasius orientalis

テラニシクサアリ

テラニシクサアリ Lasius orientalis Karavaiev, 1912

テラニシクサアリの美しい標本写真を撮影し, 一般に同定が困難とされているクサアリ亜属の同定のポイントをまとめました. 本種は同属他種のコロニーに社会寄生をする形でそのコロニーを創設します.
九州大学 野崎さんに北海道で採集されたサンプルをご提供いただきました.

ワーカー

Lasius orientalis
Lasius orientalis
Lasius orientalis
Lasius orientalis
Lasius orientalis
Lasius orientalis

☆ ワーカーの同定ポイント

  • 腹柄節 (後方)
    • 側縁:上にいくほど幅が広くなる

参考:寺山 守 他『日本産アリ類図鑑 』(2014) 朝倉書店

女王

Lasius orientalis
Lasius orientalis
Lasius orientalis

ギャラリー

分布と生息環境

木の根本付近に営巣し, 大規模な行列を形成して採餌する.

クサアリ亜属の同定

Maruyama 2005において, 日本のクサアリ亜属(Dendrolasius)は以下の5つ,

フシボソクサアリ(Lasius nipponensis
Yamauchi 1979のL. crispus はシノニム

モリシタクサアリ(Lasius morisitai
L. morisitaiL. capitatus はシノニムであるとしてL. capitatus で統一されているが, ここでは日本産アリ類図鑑に準拠してL. morisitai の方を採用した.

テラニシクサアリ(Lasius orientalis
Yamauchi 1979のL. teranishii はシノニム

ヒラアシクサアリLasius spathepus

クロクサアリ隠蔽種群(Lasius fuji
Radchenko 2005においてL. fuliginosus とは別種であると指摘. Yamauchi 1979がL. fuliginosus と表記しているものはL. fuji のことであると考えられる.

以下に, 同定形質をまとめる.

  • 側面から見て腹柄節の前後幅が薄く, 先端が尖っている(触角柄節の断面は丸)
    • 腹柄節が前後非対称:ヒラアシクサアリ(Lasius spathepus)(前胸背板の立毛>小顎鬚)
    • 腹柄節が前後対称:フシボソクサアリ(Lasius nipponensis)(前胸背板の立毛<小顎鬚)
  • 側面から見て腹柄節の前後幅が厚く, 先端が平らになっており, 前後から見て上にいくほど幅が広い (触角柄節の断面は楕円)
    • テラニシクサアリ(Lasius orientalis
  • 側面から見て腹柄節の前後幅が厚く, 先端が丸みを帯びている (触角柄節の断面は楕円)
    • 腹柄節が前後対称:クロクサアリ隠蔽種群 (Lasius fuji ) (頭幅≒頭長)
    • 腹柄節が前後非対称:モリシタクサアリ(Lasius morisitai ) (頭幅>頭長)

行動学的な知見

文献

寺山 守, 久保田 敏, 江口 克之 2014. 日本産アリ類図鑑, 朝倉書店

Yamauchi, K. 1979. Taxonomical and ecological studies on the ant genus Lasius in Japan (Hymenoptera: Formicidae). I. Taxonomy. Sci. Rep. Fac. Educ. Gifu Univ. (Nat. Sci.), 6, 147-181.

Radchenko, A. 2005. A review of the ants of the genus Lasius Fabricius, 1804, subgenus Dendrolasius Ruzsky, 1912 (Hymenoptera: Formicidae) from East Palearctic.”Annales Zoologici. 55(1):83-94.

Maruyama, M. 2005. A new synonym in the subgenus Dendrolasius of the genus Lasius (Hymenoptera, Formicidae, Formicinae). Bull. Natn. Sci. Mus. Tokyo, Ser. A, 31: 115-117.

備考

とりあえずクサアリ全種そろいました(デカクサはまだですが).
どこかで比較記事作りましょうか. どういう観点を含めて欲しいかなどあればコメントください.

Lasius umbratus

アメイロケアリ

アメイロケアリ Lasius umbratus Nylander, 1846

アメイロケアリの美しい標本写真を撮影しました.

ワーカー

本種はヒゲナガアメイロケアリ(Lasius meridionalis)に極めて類似するが, 触角柄節上の立毛がほとんどないことから区別できる.

Lasius umbratus
Lasius umbratus
Lasius umbratus

女王

ギャラリー

分布と生息環境

石下から発見されたが, 巣は木の根本付近にあると思われる.

文献

Yamauchi, K. (1979). Taxonomical and ecological studies on the ant genus Lasius in Japan (HymenopteraFormicidae). I. Taxonomy. Sci. Rep. Fac. Educ. Gifu Univ. (Nat. Sci.), 6, 147-181.

Lasius talpa

ヒメキイロケアリ

ヒメキイロケアリ Lasius talpa Wilson, 1955

ワーカー

Lasius talpa
Lasius talpa
Lasius talpa
Lasius talpa

触角柄節及び中脚脛節に多数の立毛であることから同亜属の他種と区別できる.

女王

ギャラリー

文献

Wilson, E. O. 1955. “A monographic revision of the ant genus Lasius.” Bull. Mus. Comp. Zool. Harv., 113, 1-201.

Lasius sakagamii

カワラケアリ

カワラケアリ Lasius sakagamii Yamauchi & Hayashida, 1979

ワーカー

女王

カワラケアリ
カワラケアリ
カワラケアリ

☆ 同定のポイント(女王)

  • 触角柄節の立毛:45本以上, 基部→末部で均一
  • (腹柄節背縁の立毛:多数)
  • (腹柄節前縁:弱い角ばり)
  • (前脚脛節の立毛:多数)

参考:寺山 守 他『日本産アリ類図鑑 』(2014) 朝倉書店, Yamauchi et al. 1970

ギャラリー

文献

寺山 守, 久保田 敏, 江口 克之 2014. 日本産アリ類図鑑, 朝倉書店

K. Yamauchi, K. Hayashida. 1970. Taxonomic Studies on the Genus Lasius in Hokkaido, with Ethological and Ecological Notes (Formicidae, Hymenoptera). : II. The Subgenus Lasius (With 7 Text-figures and 5 Tables). JOURNAL OF THE FACULTY OF SCIENCE HOKKAIDO UNIVERSITY Series VI. ZOOLOGY, 17(3): 501-519

Yamauchi, K. 1979. Taxonomical and ecological studies on the ant genus Lasius in Japan (Hymenoptera: Formicidae). I. Taxonomy. Sci. Rep. Fac. Educ. Gifu Univ. (Nat. Sci.), 6, 147-181

ヒゲナガアメイロケアリ

ヒゲナガアメイロケアリ

ヒゲナガアメイロケアリ Lasius meridionalis Bondroit, 1920

ワーカー

本種はアメイロケアリLasius umbratus)に極めて類似するが, 触角柄節上の立毛が豊富なことから区別できる.

Lasius meridionalis
Lasius meridionalis

Lasius meridionalis
Lasius meridionalis

ギャラリー

文献

Yamauchi, K. (1979). Taxonomical and ecological studies on the ant genus Lasius in Japan (Hymenoptera: Formicidae). I. Taxonomy. Sci. Rep. Fac. Educ. Gifu Univ. (Nat. Sci.), 6, 147-181.

Yusuke Notomi, Tomoki Kazawa, So Maezawa, Ryohei Kanzaki, Stephan Shuichi Haupt (2022) Use of visual information by ant species occurring in similar urban anthropogenic environments. Zoological Science 39 (6): 529-544.

Lasius fuji

クロクサアリ隠蔽種群

クロクサアリ隠蔽種群 Lasius fuji Radchenko, 2005 (s. l.)

クロクサアリ隠蔽種群の美しい標本写真を撮影し, 一般に同定が困難とされているクサアリ亜属の同定のポイントをまとめました. 本種は同属他種のコロニーに社会寄生をする形でそのコロニーを創設します.

ワーカー

Lasius fuji
Lasius fuji
Lasius fuji

☆ ワーカーの同定ポイント

  • 頭部の伏毛:密
  • 腹柄節 (側方):逆U字
  • 腹柄節 (後方)
    • 側縁:ほぼ平行
    • 背縁中央部:凹む

参考:寺山 守 他『日本産アリ類図鑑 』(2014) 朝倉書店

女王

ギャラリー

分布と生息環境

木の根本付近に営巣し, 大規模な行列を形成して採餌する.

クサアリ亜属の同定

Maruyama 2005において, 日本のクサアリ亜属(Dendrolasius)は以下の5つ,

フシボソクサアリ(Lasius nipponensis
Yamauchi 1979のL. crispus はシノニム

モリシタクサアリ(Lasius morisitai
L. morisitai とL. capitatus はシノニムであるとしてL. capitatus で統一されているが, ここでは日本産アリ類図鑑に準拠してL. morisitai の方を採用した.

テラニシクサアリ(Lasius orientalis
Yamauchi 1979のL. teranishii はシノニム

ヒラアシクサアリLasius spathepus

クロクサアリ隠蔽種群(Lasius fuji
Radchenko 2005においてL. fuliginosus とは別種であると指摘. Yamauchi 1979がL. fuliginosus と表記しているものはL. fuji のことであると考えられる.

以下に, 同定形質をまとめる.

  • 側面から見て腹柄節の前後幅が薄く, 先端が尖っている(触角柄節の断面は丸)
    • 腹柄節が前後非対称:ヒラアシクサアリ(Lasius spathepus)(前胸背板の立毛>小顎鬚)
    • 腹柄節が前後対称:フシボソクサアリ(Lasius nipponensis)(前胸背板の立毛<小顎鬚)
  • 側面から見て腹柄節の前後幅が厚く, 先端が平らになっており, 前後から見て上にいくほど幅が広い (触角柄節の断面は楕円)
    • テラニシクサアリ(Lasius orientalis
  • 側面から見て腹柄節の前後幅が厚く, 先端が丸みを帯びている (触角柄節の断面は楕円)
    • 腹柄節が前後対称:クロクサアリ隠蔽種群 (Lasius fuji ) (頭幅≒頭長)
    • 腹柄節が前後非対称:モリシタクサアリ(Lasius morisitai ) (頭幅>頭長)

文献

Yamauchi, K. (1979). Taxonomical and ecological studies on the ant genus Lasius in Japan (HymenopteraFormicidae). I. Taxonomy. Sci. Rep. Fac. Educ. Gifu Univ. (Nat. Sci.), 6, 147-181.

Maruyama, M. (2005) A new synonym in the subgenus Dendrolasius of the genus Lasius (HymenopteraFormicidaeFormicinae). Bull. Natn. Sci. Mus. Tokyo, Ser. A, 31: 115-117.

Lasius spathepus

ヒラアシクサアリ

ヒラアシクサアリ Lasius spathepus Wheeler, 1910

ヒラアシクサアリの美しい標本写真, 生体写真を撮影し, 一般に同定が困難とされているクサアリ亜属の同定のポイントをまとめました. 本種は同属他種のコロニーに社会寄生をする形でそのコロニーを創設します.

ワーカー

Lasius spathepus
Lasius spathepus
Lasius spathepus

☆ ワーカーの同定ポイント

  • 頭部の伏毛:疎
  • 腹柄節 (側方):逆V字, 前縁下方に角を持つ
  • 腹柄節 (後方)
    • 側縁:丸みを帯びる
    • 背縁中央部:凹む

参考:寺山 守 他『日本産アリ類図鑑 』(2014) 朝倉書店

女王

ヒラアシクサアリ
ヒラアシクサアリ

ギャラリー

分布と生息環境

木の根本付近に営巣し, 大規模な行列を形成して採餌する.

クサアリ亜属の同定

Maruyama 2005において, 日本のクサアリ亜属(Dendrolasius)は以下の5つ,

フシボソクサアリ(Lasius nipponensis
Yamauchi 1979のL. crispus はシノニム

モリシタクサアリ(Lasius morisitai
L. morisitai とL. capitatus はシノニムであるとしてL. capitatus で統一されているが, ここでは日本産アリ類図鑑に準拠してL. morisitai の方を採用した.

テラニシクサアリ(Lasius orientalis
Yamauchi 1979のL. teranishii はシノニム

ヒラアシクサアリ(Lasius spathepus

クロクサアリ隠蔽種群(Lasius fuji
Radchenko 2005においてL. fuliginosus とは別種であると指摘. Yamauchi 1979がL. fuliginosus と表記しているものはL. fuji のことであると考えられる.

以下に, 同定形質をまとめる.

  • 側面から見て腹柄節の前後幅が薄く, 先端が尖っている(触角柄節の断面は丸)
    • 腹柄節が前後非対称:ヒラアシクサアリ(Lasius spathepus)(前胸背板の立毛>小顎鬚)
    • 腹柄節が前後対称:フシボソクサアリ(Lasius nipponensis)(前胸背板の立毛<小顎鬚)
  • 側面から見て腹柄節の前後幅が厚く, 先端が平らになっており, 前後から見て上にいくほど幅が広い (触角柄節の断面は楕円)
    • テラニシクサアリ(Lasius orientalis
  • 側面から見て腹柄節の前後幅が厚く, 先端が丸みを帯びている (触角柄節の断面は楕円)
    • 腹柄節が前後対称:クロクサアリ隠蔽種群 (Lasius fuji ) (頭幅≒頭長)
    • 腹柄節が前後非対称:モリシタクサアリ(Lasius morisitai ) (頭幅>頭長)

文献

 Yamauchi, K. (1979). Taxonomical and ecological studies on the ant genus Lasius in Japan (HymenopteraFormicidae). I. Taxonomy. Sci. Rep. Fac. Educ. Gifu Univ. (Nat. Sci.), 6, 147-181.

Maruyama, M. (2005) A new synonym in the subgenus Dendrolasius of the genus Lasius (HymenopteraFormicidaeFormicinae). Bull. Natn. Sci. Mus. Tokyo, Ser. A, 31: 115-117.

Lasius nipponensis

フシボソクサアリ

フシボソクサアリ Lasius nipponensis Forel, 1912

フシボソクサアリの美しい標本写真, 生体写真を撮影し, 一般に同定が困難とされているクサアリ亜属の同定のポイントをまとめました. 本種は同属他種のコロニーに社会寄生をする形でそのコロニーを創設します.

ワーカー

Lasius nipponensis
Lasius nipponensis
Lasius nipponensis
Lasius nipponensis

☆ ワーカーの同定ポイント

  • 頭部の立毛:密
  • 腹柄節 (側方):逆V字
  • 腹柄節 (後方)
    • 側縁:先端に向けて細まる
    • 背縁中央部:凹まない

参考:寺山 守 他『日本産アリ類図鑑 』(2014) 朝倉書店

女王

ギャラリー

分布と生息環境

木の根本付近に営巣し, 大規模な行列を形成して採餌する.

クサアリ亜属の同定

Maruyama 2005において, 日本のクサアリ亜属(Dendrolasius)は以下の5つ,

フシボソクサアリ(Lasius nipponensis
Yamauchi 1979のL. crispus はシノニム

モリシタクサアリ(Lasius morisitai
L. morisitai とL. capitatus はシノニムであるとしてL. capitatus で統一されているが, ここでは日本産アリ類図鑑に準拠してL. morisitai の方を採用した.

テラニシクサアリ(Lasius orientalis
Yamauchi 1979のL. teranishii はシノニム

ヒラアシクサアリLasius spathepus

クロクサアリ隠蔽種群(Lasius fuji
Radchenko 2005においてL. fuliginosus とは別種であると指摘. Yamauchi 1979がL. fuliginosus と表記しているものはL. fuji のことであると考えられる.

以下に, 同定形質をまとめる.

  • 側面から見て腹柄節の前後幅が薄く, 先端が尖っている(触角柄節の断面は丸)
    • 腹柄節が前後非対称:ヒラアシクサアリ(Lasius spathepus)(前胸背板の立毛>小顎鬚)
    • 腹柄節が前後対称:フシボソクサアリ(Lasius nipponensis)(前胸背板の立毛<小顎鬚)
  • 側面から見て腹柄節の前後幅が厚く, 先端が平らになっており, 前後から見て上にいくほど幅が広い (触角柄節の断面は楕円)
    • テラニシクサアリ(Lasius orientalis
  • 側面から見て腹柄節の前後幅が厚く, 先端が丸みを帯びている (触角柄節の断面は楕円)
    • 腹柄節が前後対称:クロクサアリ隠蔽種群 (Lasius fuji ) (頭幅≒頭長)
    • 腹柄節が前後非対称:モリシタクサアリ(Lasius morisitai ) (頭幅>頭長)

文献

Yamauchi, K. (1979). Taxonomical and ecological studies on the ant genus Lasius in Japan (Hymenoptera: Formicidae). I. Taxonomy. Sci. Rep. Fac. Educ. Gifu Univ. (Nat. Sci.), 6, 147-181.

Maruyama, M. (2005) A new synonym in the subgenus Dendrolasius of the genus Lasius (Hymenoptera, Formicidae, Formicinae). Bull. Natn. Sci. Mus. Tokyo, Ser. A, 31: 115-117.

Lasius morisitai

モリシタクサアリ

モリシタクサアリ Lasius morisitai Yamauchi, 1979*

*Maruyama, 2005においてLasius morisitaiLasius capitatus (Kuznetsov-Ugamsky, 1928)のシノニム(同種)とされているが, このページでは日本産アリ類図鑑, 2014に準拠した学名Lasius morisitaiを暫定的に使用していることに注意

モリシタクサアリの美しい標本写真, 生体写真を撮影し, 一般に同定が困難とされているクサアリ亜属の同定のポイントをまとめました. 本種は同属他種のコロニーに社会寄生をする形でそのコロニーを創設します.

ワーカー

Lasius morisitai
Lasius morisitai
Lasius morisitai

☆ ワーカーの同定ポイント

  • 頭部の伏毛:疎
  • 腹柄節 (側方):逆V字, 高い, 前縁下方に角はない
  • 腹柄節 (後方)
    • 側縁:ほぼ平行
    • 背縁中央部:凹む

参考:寺山 守 他『日本産アリ類図鑑 』(2014) 朝倉書店

女王

ギャラリー

分布と生息環境

木の根本付近に営巣し, 大規模な行列を形成して採餌する.
図鑑の記載とは異なり, 市街地でも数コロニーを確認している.

クサアリ亜属の同定

Maruyama 2005において, 日本のクサアリ亜属(Dendrolasius)は以下の5つ,

フシボソクサアリ(Lasius nipponensis
Yamauchi 1979のL. crispus はシノニム

モリシタクサアリ(Lasius morisitai
L. morisitaiL. capitatus はシノニムであるとしてL. capitatus で統一されているが, ここでは日本産アリ類図鑑に準拠してL. morisitai の方を採用した.

テラニシクサアリ(Lasius orientalis
Yamauchi 1979のL. teranishii はシノニム

ヒラアシクサアリLasius spathepus

クロクサアリ隠蔽種群(Lasius fuji
Radchenko 2005においてL. fuliginosus とは別種であると指摘. Yamauchi 1979がL. fuliginosus と表記しているものはL. fuji のことであると考えられる.

以下に, 同定形質をまとめる.

  • 側面から見て腹柄節の前後幅が薄く, 先端が尖っている(触角柄節の断面は丸)
    • 腹柄節が前後非対称:ヒラアシクサアリ(Lasius spathepus)(前胸背板の立毛>小顎鬚)
    • 腹柄節が前後対称:フシボソクサアリ(Lasius nipponensis)(前胸背板の立毛<小顎鬚)
  • 側面から見て腹柄節の前後幅が厚く, 先端が平らになっており, 前後から見て上にいくほど幅が広い (触角柄節の断面は楕円)
    • テラニシクサアリ(Lasius orientalis
  • 側面から見て腹柄節の前後幅が厚く, 先端が丸みを帯びている (触角柄節の断面は楕円)
    • 腹柄節が前後対称:クロクサアリ隠蔽種群 (Lasius fuji ) (頭幅≒頭長)
    • 腹柄節が前後非対称:モリシタクサアリ(Lasius morisitai ) (頭幅>頭長)

行動学的な知見

近日公開予定.

文献

寺山 守, 久保田 敏, 江口 克之 2014. 日本産アリ類図鑑, 朝倉書店

Yamauchi, K. 1979. Taxonomical and ecological studies on the ant genus Lasius in Japan (Hymenoptera: Formicidae). I. Taxonomy. Sci. Rep. Fac. Educ. Gifu Univ. (Nat. Sci.), 6, 147-181.

Radchenko, A. 2005. A review of the ants of the genus Lasius Fabricius, 1804, subgenus Dendrolasius Ruzsky, 1912 (Hymenoptera: Formicidae) from East Palearctic.”Annales Zoologici. 55(1):83-94.

Maruyama, M. 2005. A new synonym in the subgenus Dendrolasius of the genus Lasius (Hymenoptera, Formicidae, Formicinae). Bull. Natn. Sci. Mus. Tokyo, Ser. A, 31: 115-117.

Yusuke Notomi, Tomoki Kazawa, So Maezawa, Ryohei Kanzaki, Stephan Shuichi Haupt (2022) Use of visual information by ant species occurring in similar urban anthropogenic environments. Zoological Science 39 (6): 529-544.